当初計画したの反し、抜核、核移植の操作は困難で、残念ながら3年間の努力にもかかわらず、限られた進歩に留まった。 抜核は以下の手法が良いことが分かった。5μg/ml のcytochalasine B添加培養液にて約15分培養後に、2台のmicromanipulatorで内径約14μmの2本のinjection pipetteを操作し、透明帯を摘む。その状態でピエゾマニピュレーターを用いて、一方のinjection pipetteを透明帯に穿刺し、先端が囲卵腔に入るやいなや培養液を少量注入して囲卵腔を拡張する。その上でそのinjection pipetteをさらに刺入し、それで第一極体とその直下にある第二減数分裂中期にある染色体とを吸引し抜核する。 高齢群の卵から第一極体を抜き取るのには、最小で内径14μmのinjection pipetteが必要であったが、若年群の抜核卵に注入するとほぼ卵が破壊されてしまい、注入は困難と考えられた。仙台ウイルスによる膜融合を注入の代わりに用いることが、今後の検討課題と考える。
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