研究分担者 |
小川 真里子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40296653)
矢島 正純 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (10182320)
高松 潔 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (30206875)
柳本 茂久 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90286542)
弟子丸 亮太 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40286539)
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研究概要 |
Raloxifene(Ly)は,OVXマウスのようなエストロゲン非存在下では抗骨吸収作用を示す。しかし正常マウスのようなエストロゲン存在下においては,Lyが骨代謝調節や骨髄微小環境に対してどのような効果を示すかは明らかではない。そこで,SERMの抗エストロゲン性についてさらに詳細に解析するために,エストロゲンを産生分泌している正常マウスに対するLyの効果の解析を試みた。 研究対象として正常マウスとしては8週齢のddyマウスを用いた。これらの正常マウス8匹ずつにvehicle,100μg/kg/日のLy(Eli Lilly社製)および0.3μg/kg/日の17β-estradiol(E_2,Sigma Chemical社製)を各々投与し,2週間後にト殺した。評価項目として,先ず子宮重量はcontrolであるvehicle投与群では159.5±22.2(mean±SD)mg,Ly投与群では94.2±8.7mg,E_2投与群では499.4±163.5mgを呈した。この結果から,子宮重量はLy投与により有意差はないが減少を示し,またE_2投与では有意(p<0.05)に増加した。すなわち,Lyは子宮に対してはE_2とは反対の作用を示した。 次に骨髄細胞を採取して,Bリンパ球における特異的表現マーカーに対するモノクローナル抗体B-220を用いたFlow Cytometryにて解析した。その結果,骨髄中のB-220陽性細胞数はvehicle投与群では30.0±3.2%,Ly投与群では30.3±3.5%,E_2投与群では16.4±3.5%であった。すなわち,Ly投与では,骨髄中のBリンパ球に変化はなかったが,E_2投与では有意(p<0.05)に減少した。このことから,Lyは骨髄造血にはE_2のような作用を示さなかった。以上から骨や骨髄に対するlyの作用は,マウスにおいて卵巣機能に関係なくE_2の作用とは異なることが判明した。
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