研究概要 |
1.骨髄間質細胞に対するRaloxifeneの作用 in vitroにおいて骨髄間質細胞株ST2細胞とマウス骨髄細胞の共存培養下で,エストロゲンを添加すると,Bリンパ球前駆細胞からBリンパ球への分化を抑制し,卵巣摘出マウスにエストロゲンを投与した場合と同様の効果が得られた。そこでこの共存培養系にRaloxifeneを添加したところ,エストロゲン添加の場合とは異なりBリンパ球の分化の有意な抑制はみられなかった。培養条件の設定や,in vivoとin vitroの差異等も考慮に入れ,再検討を行ったうえで結論づける予定である。 2.Gonadotropin releasing hormone agonist(GnRHa)による骨代謝への影響とRaloxifeneの併用効果の解析 8週齢ddY雌性マウスにGnRHaを5mg/kg投与すると,低エストロゲン状態になり,二次的に骨量低下を促した。低エストロゲン状態は子宮萎縮の程度をもって判別した。骨量はマイクロCTスキャンによって解析した。GnRHa投与群は卵巣摘出群のような著名な子宮萎縮や骨量減少はみられなかったものの,コントロール群に比して有意な低値を示したことから,卵巣摘出することなく内在性エストロゲン値を低下させる限度と結論づけた。現在その確認のために,マウス血清中のエストロゲン値あるいはLH/FSH値の測定を予定している。 また,GnRHaとRaloxifeneを併用投与し,Raloxifeneのadd back療法による効果を試みたところ,Raloxifeneを1ng/kg投与した群においては,GnRHa投与に対する子宮萎縮を完全に回復した。 骨量減少に対するRaloxifeneの効果については,併用投与4週後のそれぞれのマウスの骨組織を摘出し,現在解析中である。
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