研究課題/領域番号 |
12671647
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
小池 修治 山形大学, 医学部, 講師 (10205297)
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研究分担者 |
多田 雄一郎 山形大学, 医学部, 助手 (70292430)
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キーワード | MALTリンパ腫 / 唾液腺リンパ増殖性疾患 / シェーグレン症候群 / 免疫組織化学染色法 / PCR法 / 単クローン性免疫グロブリン重鎖遺伝子再構成 / monoclonality |
研究概要 |
対象は当科開設の1977年から2001年12月まで摘出術あるいは生検術を施行した唾液腺腫瘍である。はじめにこれらの病理報告書を再検討し、リンパ増殖性病変を運び出した。次に病理標本を見直し、MALTリンパ腫を疑う症例を抽出した。さらに、補助診断として、これらの症例において悪性腫瘍としての増殖、すなわちmonoclonalityを示す目的で以下の2つの方法を用いて検討した。(1)免疫グロブリン保有細胞の各クラス別の抗体を用いて染色を行い、1つのクラスに染色の偏りがあればmonoclonalityありと判定した。(2)パラフィン包埋標本あるいは凍結保存した組織からDNAを抽出し、IgH再構成をPCR法で超可変領域の1つであるCDR3領域を増幅することにより検討した。PCR産物が単一のバンドとして検出されればmonoclonalityを示す所見と判定した。MALTリンパ腫と診断した症例については治療法、予後などを検討した。またMALTリンパ腫発症とEB(Ebstein-Barr)virus感染の関連性を、PCR法また免疫組織化学的に検討した。 見直し診断を行った結果、11症例、16検体がMALTリンパ腫と診断された。このうち過去の診断名が覆ったのは5症例、8検体であった。MALTリンパ腫と診断された11症例のほとんどでシェーグレン症候群を合併し、またリウマチ因子など、自己免疫疾患を有している症例が認められ、MALTリンパ腫の発生との関連が考えられた。また性別では女性が11例中7例あり、女性の割合が高かった。また、見直し診断をみると、初回診断が変更された症例が5例あり、MALTリンパ腫の診断の難しさを示していると思われる。唾液腺MALTリンパ腫の予後についてみてみるとこれまで死亡例はなく、生命の予後は良好な傾向にあった。しかし唾液腺外にも病変部位を認めた症例では完全寛解に至った症例はなく、これまで言われていたほど唾液腺MALTリンパ腫は良好な経過を示していなかった。また本研究においてはMALTリンパ腫とEB virusとの関連は免疫組織化学的検討また遺伝子学的検討いずれからも有意な所見は得られなかった。
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