経頭蓋骨骨的ドプラ法を用いた内頸動脈切除症例における脳血流測定では、患側中大脳動脈血流速度は低下するものの、脳自動調節能により末梢抵抗が低下し、動脈のpulsatility index(PI)は低下して、脳循環血流量は保たれていることが示された。この脳血管の拡張は酸素吸入によって収縮が認められ、逆に二酸化炭素に対する拡張反応は抑制されていた。脳血流を駆動する脳環流圧は脳動脈圧、脳血管緊張度、脳内圧などによって決定されるが、それ以下になると機能的に脳血管の虚脱するような圧をcerebral critical closing pressure(Pcc)とよび、脳内圧と血管緊張度のバランスで決まる。上述の内頸動脈切除症例においては、Pccは著明に低下し、脳血流自動調節能はこれを介して作動している可能性があることが示唆された。
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