われわれは、平成12年度から引き続き、高親和性IgE受容体β鎖(FcεRIβ)の遺伝子多型Glu237Glyおよびインターロイキン4(IL-4)のプロモーター領域の遺伝子多型-524C/Tが、アレルギー性鼻炎と相関を示すかについて解析を行った。本年度には、文部科学省、厚生労働省、経済産業省三省合同の「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」を遵守すべく、まず千葉大学大学院医学研究院の生命倫理審査委員会において本研究の審査を受け、承認された。これに伴い試料等の匿名化を行い、平成12年度までの研究結果をもう一度確認する実験を行った。その結果、平成12年度までの研究結果が正しいことが確認された。その要点は、(1)IL-4の遺伝子多型-524C/Tとアレルギー性鼻炎との間に有意の相関は認められなかった。(2)FcεRIβの遺伝子多型Glu237Glyは、アレルギー性鼻炎と有意の相関を示した。(3)血清総IgE値高値とGly237の間には相関が認められた。(4)ハウスダストおよびスギ花粉に対する特異的IgEのRASTスコアとGly237の相関について調べたところ、ハウスダストRASTスコア6の者とスギ花粉RASTスコア5以上の者で相関が認められた。これらの結果は、FcεRIβのGlu237Gly遺伝子多型は、IgE産生高進を介して、アレルギー性鼻炎発症に関与していることを示唆すると考えられた。これらの結果を、学会(口頭)および学会誌上、出版物などに公表した。
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