1.鼻ポリープ・正常鼻粘膜に発現する水チャネル遺伝子・蛋白の同定 内視鏡下鼻内手術中に採取した鼻ポリープ、下鼻甲介粘膜よりmRNAを抽出し、5種類の水チャネルAQP1〜AQP5に対応するプライマーを用いたRT-PCR法により水チャネル遺伝子の発現を検討した。鼻ポリープ、下鼻甲介粘膜内に水チャネルAQP1〜AQP5のmRNAの発現が確認され、特に、鼻ポリープ、下鼻甲介粘膜内ともに、AQP5mRNAの強い発現が観察された。 鼻ポリープ、下鼻甲介粘膜内に強い発現が認められた水チャネルAQP5に関して、同分子のC末端ペプチドに対する特異的抗体を作成し、同組織内における局在部位を免疫組織化学法により検討した。鼻ポリープ、下鼻甲介粘膜内ともに、呼吸上皮細胞および鼻腺上皮細胞内にAQP5蛋白の局在が観察された。 2.鼻ポリープにおける水チャネル遺伝子・蛋白発現量の変化 鼻ポリープ・下鼻甲介鼻粘膜よりmRNAを抽出し、現在最も定量性に優れているreal-time PCR法を用いて、鼻ポリープと下鼻甲介鼻粘膜におけるAQP5mRNAを比較検討した。その結果、鼻ポリープ内でのAQP5mRNAの発現量は、下鼻甲介粘膜と比較して有意に(p<0.05)低下していることが確認された。AQP5特異的抗体を用いて、鼻ポリープと下鼻甲介鼻粘膜における同水チャネルの蛋白量を比較検討した。免疫組織化学法による観察から、鼻ポリープ内でのAQP5の蛋白発現量は、下鼻甲介粘膜と比較して明らかに低下していることが示唆された。Wester n blot法による定量化でも、鼻ポリープ内でのAQP5の蛋白発現量は有意に(p<0.05)低下していることが確認された。
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