研究概要 |
1,自然免疫の解析 Toll受容体の解析を行い、ブドウ球菌由来のペプチドグリカンのTLR4の結合に重要な部位の特定を行った。TLR4遺伝子を強制発現させたHEK293細胞では、deletion mutantの解析から、ロイシンリッチリピート構造のうち、serine40-Isoleucine64の構造が、ブドウ球菌由来のペプチドグリカン認識に重要であることを認めた。さらに、TLR4の細胞外ドメインが他のCD14に置き換えることができないことを報告した。 2.中耳炎起炎菌の新種菌であるAlloiococcus otitidisの解析 A.otitidisが小児中耳炎で高頻度に検出されることを確認し、さらに免疫原性を確認するため、リンパ球活性化、サイトカイン産生能の検討を行い、この菌種が他の起炎菌と同様の免疫賦活化能を持つことを明らかにした。さらに、中耳局所で産生される抗体を検出し、特異的抗原と考えられる分子量40000Daの蛋白を同定した。この蛋白のクローニングを終え、構造機能を検討中である(未発表データ)。 3.肺炎球菌の耐性遺伝子の検討 市井感染としての肺炎球菌の遺伝子解析を行い、ディスク法にて中間、高度耐性を示す菌種のほとんどが耐性遺伝子を持っていることを確認した。さらに、マクロライド系抗生剤に対しても耐性を示すことが確認された。 4.小児扁桃摘出後の生体防御機構の変化 小児における扁桃摘出後でも、細菌に対する特異的抗体に変化なく、細菌抗原に対する認識パターンにも変化がなく、小児でも少なくとも3歳以降では摘出による免疫学的異常が起こらないことが確認された。
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