1.自然免疫にかかわるToll様受容体の解析 自然免疫機構で重要なToll様受容体の研究行った。TLR2の発現遣伝子をヒト293細胞に導入し強制発現させ、さまざまな条件下でペプチドグリカンにより刺激し、NF-κBの活性化を指標としてTLR2の細胞外ドメインのうち、シグナル伝達に重要な構造を決定した。さらに、ブドウ球菌が直接TLR2に結合すること、サーファクタント分子がTLRに結合して自然免疫の反応を修飾していることを見出し報告した。これらの一連のToll様受容体の研究は現在も推進している段階であるが、細菌感染に対する一連の免疫反応のどこを制御することで、効率の良い防御機構を推進できるかが問題となった。 2.細菌の耐性遺伝子の発現の検討 耐性菌の問題についてもこの研究の中で行った。耐性遺伝子の解析により、すでに80%以上の菌株が耐性を獲得していた。マクロライドへの耐性や、耐性インフルエンザ菌の問題も提唱されている。さらに、この研究では、キノロン系薬剤に対する耐性も出現していることを報告し、その検出率は老年者に多く、まだ、小児には検出されないことを報告した このように、耳鼻咽喉科領域局所での炎症のカスケードをサイトカイン・接着分子について検討し、起炎菌の同定を細部にわたって検討した。これらの炎症の惹起するものとして、自然免疫の中でもTLRの働きが重要であることから、それらのリガンドである細菌の菌体抗原、特に細菌に特有の抗原について、局所の反応性について種々の動物モデルを用いて検討した。さらに、PAMPとTLRの関連を分子レベルで解析し、TLRを介した炎症反応の初期のメカニズムを明らかにした。肺炎球菌について、耐性の頻度を検討するとともに、新たな薬剤についても検討を加えた。
|