研究概要 |
本年度は,主に血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)の遺伝子導入によるin vitro及びin vivoの研究を行った.細胞株は,当科で樹立しVEGFの発現が認められないことが証明された上顎扁平上皮癌細胞株:OKK-LNを使用した. 1.樹立細胞株へのVEGF遺伝子導入 VEGF発現ベクターはプロメガ社製pCIneo plasmidの マルチクローニングサイトにfull lengthのVEGF165cDNAを挿入して作成した.遺伝子導入はGibco社製lipofectamine plasを用いたlipofection法にて行いselectionはG418により行った.cloningはlimiting dilution法にて行いVEGF産生腫瘍OKK-LN/pCIneo-VEGFを樹立した.この細胞株はcontrolとしたpCIneo plasmidのみをtransfectしたOKK-LN/pCIneoに比較し明らかなVEGF発現が認められた. 2.ヌードマウスへの移植によるVEGFの腫瘍増殖の検討 1.で作成した両細胞を6週齢Balb/cnu/nuマウスの右側腹部に皮下注射することにより移植し,腫瘍体積と生存期間を検討した.腫瘍体積はVEGF transfect群(OKK-LN/pCIneo-VEGF)において著しい増加を認め局所増殖についてVEGFの関与が示唆された.生存日数の検討ではVEGF transfect群はcontrol群(OKK-LN/pCIneo)より生存日数が平均9日間短縮し,VEGFが生命予後に関与している可能性が示唆された.
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