人正常喉頭上皮及び喉頭癌標本を対象とし:形態的に喉頭の基底膜に近い上皮細胞の核への男性ホルモン(T)の移行があることを組織培養及び3^H標識Tを用いて証明した。紀元前来予想の域を抜け出ないままであった人の声の性分化、Tの喉頭への関与を始めて実験的に証明しえたものである。また喉頭癌細胞でも同様であり、全ての細胞ではないがTの細胞核への取り込みを示し、癌細胞の生理作用への関与を裏付けるものである。これは喉頭癌発生の高い男性優位性(F : M=1:10<)を示す疫学調査結果の理解に一つの根拠を与えるものである。 人喉頭癌培養細胞を対象とし:喉頭癌細胞(HEp-2)は、T及びエストロジェン(E)感受性を持ち、AR遺伝子転写活性能を必須とするが後の翻訳を欠きAR蛋白発現を必要としない。このことは古典的な男性ホルモンの作用機構では説明できない他のNongenomicなTによる活性の存在を示唆するものである。さらに10^<-6>M以上のTとEはこの癌細胞の死を誘導すること、報告が皆無な喉頭上皮細胞のT代謝を含め以下を証明した。 1.アロマターゼ及びE受容体II型の遺伝子転写能を有する。 2.喉頭癌細胞では前立腺でのT代謝産物、5α-Dihydrotestosterone(5α-DHT)とはならない。 3.この細部死現象は、p53に依存し、Caspase-3には非依存性である。 実験動物(C_3H系マウスの担癌モデル使用)を対象とし:1.ホルモン調節機構破綻こよる発癌、副腎皮質(癌腫16例、他の4例も片測、両測性の血腫、水腫又は膿胞何れか発生)、唾液腺(2例)、乳腺(2例)、肝臓(2例)であり100%の個体に癌病変が確認された。2.T処置による癌細胞死誘導現象をin vivoで証明。3.T処置により健康の向上と60%完全治癒、40%延命(平均106日)を確認。(未処置群では移殖後、死亡率100%、平均寿命43日)
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