研究概要 |
320〜500gのラット(Wistez-kyoto)を使用し,調節呼吸下に,血圧を右左は左の大腿静脈より記録し,パルスオキシメータでモニターしつつ蝸牛血流を基底回転倒壁よりレーザードップラー血流計で測定した。L-NAME(NO合成阻害剤)を5mg/kgの投与量で静注すると蝸牛血流が低下し,静注後10分にNOの基質であるL-arginineを静注(100mg/kg)すると,低下した血流が部分的に回復した。L-NAMEによる蝸牛血流低下に用量依存性があるがどうか1mg/kg,16mg/kgについても血流変化を観察した。L-NAME5mg/kgでは蝸牛血流低下度が-30.4%(n=9)であったのたのに対して16mg/kgでは,その低下度は-29.5%(n=13)でその差は微小であった。一方,1mg/kgでは低下度は-24.3%(n=7)で5mg/kg群との間に用量依存性がみられた。低下した蝸牛血流のL-arginineによる回復度はL-NAMEの投与量と逆の関係となり,1mg/kg投与群で最大回復度は+17.2%(n=7),5mg/kg群で+15.9%(n=9),10mg/kg群で+7.0%(n=13)という結果であった。前的投与(正円窓滴下)によっても蝸牛血流に上記と同様の血流反応がみられるか実験を行った。1%L-NAMEを2ml滴下したところ,全身投与より緩徐であるが蝸牛血流の低下が観察され,滴下後25分の血流低下は-21.9%(n=10)であった.しかし滴下後25分に5%L-arginineを2ml滴下した場合,低下血流の回復はみられずその値は-1.1%(n=7)であった。20%L-arginineを滴下した場合に僅かな回復がみられた.
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