研究分担者 |
新関 寛徳 国立東京医療センター, 皮膚科研究員 (10228124)
横山 真紀 (社団法人)北里研究所, 北里研究所病院, 耳鼻咽喉科研究員 (80276360)
稲本 伸子 (社団法人)北里研究所, 北里研究所病院, 皮膚科研究員 (80129337)
西川 武二 慶応義塾大学, 医学部, 教授 (50051579)
猪子 英俊 東海大学, 医学部, 教授 (10101932)
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研究概要 |
掌蹠膿疱症(PPP)は手掌、足底に無菌性膿疱を繰り返し発症する慢性炎症性皮膚疾患であり、病変部皮膚においては著しい好中球の浸潤が特徴的である。好中球遊走因子であるTNF-αに注目し、TNF-α蛋白の産生量を調節していると考えられているTNF遺伝子多型との関連について臨床的に検討した。PPPは上気道感染により皮膚症状の悪化がみられることや、扁桃摘出により皮膚症状の治癒が得られることから、以前より病巣感染疾患として本邦では扱われてきた。扁桃病巣感染の指標として扁桃刺激試験を行い結果により、患者を陰性群、陽性群の2群に分類した。 PPP患者79名より得られた血液よりDNAを抽出し、PCR法にてTNFA遺伝子プロモーター領域-1107から-66位を増幅し、直接塩基配列決定法により遺伝子多型を検出した。この部位の多型はすでに報告されているTNFA/-1031,-862,-856,-307,-237の5つの多型部位について検討した。扁桃刺激試験陰性群ではAlleleAの頻度が86.2%であり、扁桃刺激試験陽性群およびコントロール群と比較し有意に高い結果であった。(p<0.005)一方Allele B,Allele Dの頻度は有意に低かった。(p<0.05)それに対し、陽性群ではAllele Aの頻度は65.8%と陰性群と比較し有意に低く(p<0.005)、Allele B,Allele Dの頻度が高いことが明らかとなった。以上より扁桃刺激試験陽性群では、陰性群と比較しTNF-αの産生能が高いことが知られている対立遺伝子の頻度が高いことが示され、このことはPPPを病因論的に分類する際に遺伝的素因が関与している可能性が示唆された。
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