研究課題/領域番号 |
12671703
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
眼科学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
中村 誠 名古屋大学, 医学部・附属病院, 講師 (60283438)
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研究分担者 |
堀田 喜裕 浜松医科大学, 医学部, 教授 (90173608)
三宅 養三 名古屋大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30166136)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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キーワード | 遺伝性眼底疾患 / 分子遺伝 / 眼底白点症 / 先天性網膜分離症 / 不全型先天停止性夜盲 / RDH5遺伝子 / XLRS1遺伝子 / CACNA1F遺伝子 |
研究概要 |
遺伝性眼底疾患はしばしば表現型に富んでおり、これまでは臨床像が既存の疾患概念からは非典型的である症例は診断が困難な場合があった。しかしそういう症例も分子遺伝の手法を用いることによって確実な診断を下すことが可能となり、その結果各疾患の表現型について新たな知見が得られた。 眼底白点症では夜盲症以外に視機能が冒されることはないと考えられてきたが、原因遺伝子のRDH5遺伝子を検討したところ、実はこの疾患では加齢と共に進行性に視機能が障害される錐体ジストロフィーを発症する場合が多いことが判明した。さらに、小児でも黄斑変性を伴い矯正視力が不良な場合があることを明らかにした。これらは眼底白点症の疾患概念を変える知見である。 先天網膜分離症は、黄斑部や周辺部の網膜が内層と外層に分離する疾患で、一般に網膜電図は陰性型を示す。先天網膜分離症の原因遺伝子であるXLRS1遺伝子を検討した結果、先天網膜分離症では網膜に白点を伴うこともあることが明らかとなった。また黄斑部網膜に変性萎縮が認められ、網膜電図は陰性型を示すという症例は、先天網膜分離症の場合があることが明らかになった。さらに、先天網膜分離症の症例の中には網膜電図が正常な場合があることも明らかになった。 不全型先天停止性夜盲は名古屋大学で最初に報告されたの疾患であるが、近年原因遺伝子がCACNA1F遺伝子であることが判明したため、我々の症例についてもこの遺伝子の検討を行ったところ、全症例において変異が検出され、この疾患はこの遺伝子の異常により発症することが確認された。 さらに、一般にこの疾患では眼底や視野には異常は認められないとされているが、網膜変性や視野の異常を伴う非典型的症例等も存在することも確認した。 その他にも、他の遺伝性網膜疾患や遺伝性角膜疾患の原因遺伝子の同定も行い、各疾患の遺伝子異常と臨床像について多くの新たな知見が得られた。
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