研究課題/領域番号 |
12671708
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
眼科学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大路 正人 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (90252650)
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研究分担者 |
瓶井 資弘 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (40281125)
生野 恭司 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (50294096)
田野 保雄 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (80093433)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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キーワード | 硝子体手術 / 液空気置換 / 湿度 / 角膜障害 / 瞳孔径 / macular translocation |
研究概要 |
本研究においては、硝子体手術中の液空気置換が術中の瞳孔径、角膜内皮に与える障害を検討し、その解決策を開発することを目的とした。さらに臨床研究として侵襲の大きな手術である黄斑移動術における手術成績と合併症も検討した。 有色家兎を用いて、全身麻酔下に硝子体切除、水晶体切除を行った後、乾燥空気あるいは加湿空気を用いて液空気置換を行い、縮瞳や角膜内皮に与える影響を組織学的、また機能的に検討した。 液空気置換開始前の瞳孔径を100%とし、空気灌流後の瞳孔径を測定した。乾燥空気を用いた際には、空気灌流開始1分後には70±12%、5分後には17±10%、10分後には9±5%であり、短時間で著明な縮瞳を生じた。加湿空気を用いた際には空気灌流開始1分後には94±8%、5分後には39±9%、10分後には15±12%であった。加湿空気を用いた液空気置換は乾燥空気を用いた液空気置換に比べ、縮瞳が抑制されることが判明した。 電子顕微鏡による観察で家兎正常角膜内皮にみられる多数のmicrovilliは乾燥空気を用いた空気灌流では短時間で著明に減少し、細胞間隙も開大していた。加湿空気を用いた液空気置換ではmicorvilliも減少するものの認められ、細胞間隙の開大もなく、障害の組織学的変化は軽微であった。細胞内のアクチン染色も加湿空気群で乾燥空気群よりも障害が著明に抑制されていた。Carboxylfluoresceinを用いた角膜内皮のバリアー機能測定でも、乾燥空気による空気灌流で見られた著明なバリアー機能の障害は、加湿空気を用いることにより著明に軽減された。 黄斑移動術により加齢黄斑変性や近視性新生血管黄斑症の多くの症例で視力改善がみられた。術式の改善や器具の改良により網膜剥離などの術後合併症も軽減された。黄斑移動術後の周辺部視野への影響は強膜短縮による黄斑移動術よりも全周網膜切開による黄斑移動術の方が大きかったが、臨床的に受容できる程度の視野狭窄であり、黄斑移動術の有効性が確認できた。
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