研究概要 |
眼組織および眼病変における「がん遺伝子」と「がん抑制遺伝子」の研究をすすめている。 がん遺伝子のc-fos,c-junの発現を、マウスやラットの胎生期の角膜や水晶体で研究し、それらが、角膜や水晶体の形成に関与していることを免疫組織化学およびin situ hybridizationで証明している。 また、小動物の角膜や水晶体に創を作成し、その治癒過程でc-Fos,c-Junを免疫組織化学的に染め出した(Saika,Ohnishi,Ophthalmic Res.2000年)。 このように直早期遺伝子のc-fosやc-junが各種の条件下で眼組織に発現し、重要な働きを担っていると考えられた。今後は、他の遺伝子も追求し、それらの相互関係も明らかにしていく予定である。 がん遺伝子に関しては網膜芽細胞腫遺伝子とp53遺伝子について研究している。 網膜芽細胞腫の患者さんを外来で長期間診察すると同時に、患者さんの協力を得て、その遺伝子の解析を行っている。家族発生、両眼発生例に関しては遺伝子のエクソン領域の異常を調べている。 次にp53遺伝子に関しては眼瞼扁平上皮癌、其底細胞癌などで調べている。多数の翼状片での検索では従来の報告と異なり、p53遺伝子は関連がないという結果を得たが、使用した抗体などをかえて再検討する予定である。 遺伝子導入による眼腫瘍治療に関しては悪性黒色腫細胞を用いてアデ/ウィルスベクターで研究している。
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