研究概要 |
眼組織および眼病変における「がん遺伝子」と「がん抑制遺伝子」の研究をすすめている。 従来からがん遺伝子のc-fos, c-junの発現を、マウスやラヅトの胎生期の角膜や水晶体で研究しているが、さらに眼外傷での創傷治癒過程でのこれらの直早期遺伝子の役割を免疫組織化学およびin situ hybridizationを用いて調べている(Shirai, Ohnishi, et al. Exp Eye Res 2001)。また、transforming growth factorの関与についても検討している(Saika, Ohnishi, et al. Exp Eye Res 2001 Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 2001)。 遺伝子導入の研究を虹彩でまず行った。Lac Z遺伝子をアデノビールスベクターを用いて虹彩の括約筋への導入に成功した(Yoshitomi, Ohnishi, et al. Ophthalmic Res 2001)。 次に眼部腫瘍の誘発実験を行った。XPCノックアウトマウスに9,10-dimethyl-1,2-benzanthraceneを毎日6週間点眼することにより、眼瞼に乳頭腫が発生した。予備実験では4眼全てに腫瘍が発生した。健常組織と比較して腫瘍組織ではTGFβRIIとSmad3の発現は抑制されていた。この実験で悪性腫瘍の発生がないかを更に検討し、これらの腫瘍を用いて遺伝子治療の可能性を追求する。 網膜芽細胞腫に関しては、患者さんを外来で長期に診察すると同時に、患者さんの協力を得て、その遺伝子の解析を行っている。 次にp53遺伝子に関しても、眼瞼扁平上皮癌、基底細胞癌などで調べている。翼状片の手術標本での検討ではp53遺伝子は陰性であったが、更に検討を加えている。
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