研究概要 |
コーテリーにより角膜中心に遊走するクラス2陽性細胞の樹枝状形態より、ランゲルハンス細胞の同定を蛍光顕微鏡観察により行ったところ、コーテリー施行施行群で、術後6日目に有意に多いクラス2陽性細胞の樹枝状細胞を同定した。そこで正常群、コーテリー施行後3日群、6日群の角膜を採取し、Ribonuclease Protection Assay(RPA)法よって、ケモカイン、ケモカインレセプターのmRNAの発現を検討した。結果として、RANTES,MIP1a,b,MIP2,MCP1,IP10などのケモカイン、CCR1,CCR2,CCR5の各ケモカインレセプターのmRNAの発現量が増加していた。そこでケモカインレセプターとそのリガンドの関係より、CCR1、CCR5に着目し、これらのノックアウトマウスを用いてランゲルハンス細胞遊走の解析を行った。結果として、CCR5KOマウスではコントロールマウスに比較して、ランゲルハンス細胞の遊走は有意に少なかったが、CCR1KOはコントロールマウスに比べて遊走は減少していなかった。また、抗CCR5抗体を用いて、樹枝状細胞を同定したところ、CCR5陽性の樹枝状細胞は、正常角膜では発現していなかった。しかし、コーテリーにより角膜周辺部には発現が認められたが、角膜中心部には認められなかった。以上より、角膜のランゲルハンス細胞遊走には、RANTES,MIP1a,bをリガンドとして持つCCR5が関与し、角膜中心部で発現が認められなかったことより遊走のイニシエーション因子としての役割を果たしている可能性が示唆された。今後はさらに、ランゲルハンス細胞の遊走に対する関与の明らかにされているTNFaやIL-1aなどのproinflammatoryサイトカインとケモカインの関係を明らかにし、ランゲルハンス細胞の遊走を分子レベルで検討していく予定である。
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