研究概要 |
サニアック干渉計を眼底カメラに搭載し、干渉信号をCCD(charged couple device)カメラで取り込み、コンピュータでフーリエ解析を行い、眼底画像上での酸素飽和度の測定を行った。今回のシステムでは、操作面での改善が得られ臨床での使用が可能であった。その一方で、アルゴリズムの検討を行い、従来、画面上任意の点または面での測定しかできなかったが、酸素飽和度を示すカラーバーを使っての画像を、眼底写真の上で表示出来るように改善した。これにより、眼底の各部位での、酸素飽和度の変化の把握が容易となった。 基礎実験では、本装置の測定限界や、測定における解像度がまず確認された。その結果、測定誤差はin vitroで±3%であり、in vivoで100±12%であった。そして解像どは30μmであると算出されている。この結果については現在、原著論文としてまとめている途中である。 また、臨床応用にあたって、網膜の循環動態を示す蛍光眼底造影所見との比較を行った。その結果、循環時間の遅延により酸素飽和度が低くなることや、蛍光漏出や血管床閉塞部など、蛍光眼底造影所見を反映した酸素飽和度が示されることが網膜中心静脈閉塞症で証明された。併せて、本装置の臨床的な有用性が確認された。この結果は、2000年10月にアメリカ、ダラス市で開催されたAmerican Academy of Ophthalmologyの総会で発表された。本結果については,American Academy of Ophthalmologyについては、に機関誌であるOphthalmologyに投稿中である。 以上の結果を受け、さらに糖尿病網膜症、正常眼圧緑内障などの病態生理の解明を目的に臨床応用を進め、既に正常篤志者を含め、総計500例以上の検査を行い、そのデータ解析を行っている。
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