研究概要 |
Vogt-小柳-原田病(原田病)は、ぶどう膜、皮膚、脈絡叢、内耳などの色素細胞の存在する部位に炎症をきたす全身性疾患であり、色素細胞に対するクラスIIMHC(HLA-DRB1^*0405)が関与する自己免疫疾患と考えられているが、その発症機構は未だ解明されていない。そこで原田病発症機序ならびに、本疾患の遷延化、慢性化に至るメカニズムを解明することは意義がある。今回、我々は原田病特異的なT細胞が存在すると考えられる原田病患者の髄液からT細胞を樹立し、既にメラノーマ抗原として単離してきたメラノソーム蛋白(tyrosinase,MART-1,gp100,TRP1,TRP2)や現在メラノーマ抗原候補として単離している各種色素細胞特異的蛋白遺伝子などを用いて、原田病のT細胞認識自己抗原の同定を目的とした、 1.原田病患者の髄液中からのT細胞の樹立 原田病患者髄液よりリンパ球を分離し、OKT-3とIL-2の存在下で、限界稀釈法にて培養し、T細胞の樹立を試みた。現時点で10例中、1例においてT細胞が樹立された。樹立したT細胞を、メラノサイトおよびメラノーマのライセートと、HLA-DRB1^*0405をもつ末梢血リンパ球と反応させ、放出されるサイトカインを測定し原田病特異的な細胞であるかを調べた。54clone中、24cloneにおいてメラノーマのライセートとの反応でサイトカインの上昇がみられた。 2.遺伝子組換えによる解析 クラスIIMHC拘束性があることから、HLA-DRB1^*0405と同時に抗原候補蛋白を発現させT細胞と反応させなければならない。そのために、まずのHLA-DRB1^*0405遺伝子を単離し、真核細胞の発現ベクターに組込んだ。さらにこれをまずメラノーマ細胞に導入した。また各種色素細胞特異的蛋白の発現ベクターを構築中である。
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