研究概要 |
残存硝子体をなくするために黄斑円孔には,近年内境界膜の剥離が行われるようになったが,その手技は難易度が高い.そのために内境界膜をICG(インドシアニングリーン)で染色する方法が報告されているが,その染色が網膜にあたえる影響についてはわかっていない.現在,臨床の場においてPharmacological vitrectomyとして行われているICG染色の安全性について研究,検討する. 今回,我々は有色家兎に対し経毛様体扁平部水晶体切除術,経毛様体扁平部硝子体切除術を施行した後,実際,手術に使われているICG2mg/mlの濃度で眼球内に注入し,3分経過させ,その後眼内環流液にて洗浄した後眼球摘出し. frozen sectionを作成し,下記の染色をし,網膜障害について検討した. 1)トルイジンブルー染色:染色していない網膜とICG染色した網膜とでは差が見られなかった. 2)ヘマトキシリン・エオジン染色:染色していない網膜とICG染色した網膜とでは差が見られなかった. 3)タネル染色:染色していない網膜とICG染色した網膜の両方でアポトーシスを示す染色は見られなかった. 以上のことより,現在のところ内境界膜のICG染色は網膜に影響していない可能性が考えられた. 今後の予定として 1)現在までの結果のn数を増やす. 2)電顕にて詳細に網膜障害を確認する. 3)ICGの濃度,眼内留置時間を変化させ,それぞれの状況での網膜障害を観察する. 4)赤外線顕微鏡を使いICGの網膜への深達度をそれぞれの濃度,暴露時間で観察する. 5)内境界膜を剥離した後ICGを暴露させ,網膜障害を観察する. 以上のことをまとめて論文にする.
|