研究課題/領域番号 |
12671729
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
松村 美代 関西医科大学, 医学部, 教授 (30144380)
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研究分担者 |
大森 京子 関西医科大学, 医学部, 助教授 (90152256)
弓削 堅志 関西医科大学, 医学部, 助手 (10247942)
西村 哲哉 関西医科大学, 医学部, 助教授 (30156111)
藤関 義人 関西医科大学, 医学部, 助手 (30330202)
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キーワード | 増殖性硝子体網膜症 / Lysyl oxidase / コラーゲン / 網膜色素上皮細胞 / 遊走 |
研究概要 |
目的: Lysyl oxidase(以下LO)は細胞外マトリックス(以下ECM)構成成分であるコラーゲン間の架橋形成を触媒する。今回我々は、家兎の培養網膜色素上皮細胞(以下RPE)において非常に高いLO mRNAの発現を認めた。その発現の役割をみるために、細胞の増殖・分化を変動させる因子を添加しその変動について解析した。 方法: 3〜4代継代培養したRPEはdish上でconfluentになっても増殖する。この継代培養したRPEにretinoic accid単独で増殖が停止し、retinoic acidとcAMP存在下でin vivoのような一層の敷石状の構造をとることがわかっている。何も添加しないコントロールを含めた3種類の培養細胞を用い実験を行った。 結果: 1.RPEをretinoic acidまたはretinoic acid-cAMPの存在下に培養すると分化を示す形態変化に伴い、経時的なLO mRNA発現の現象とリソソームのマーカー酵素のα-N-acetylglucosaminidase(以下NAG)の発現の増加が観察された。 2.極性を持たせたmicropore membrane上で培養した細胞では、dishと比べ、LO mRNAは有意に低く、NAG mRNAは有意に高く発現していた。 結論: RPEは分化時または貧食・遊走機能の獲得時には、ECM形成が阻害され、細胞の可動性が高まることが示唆された。本来高度に分化した一層の細胞として機能しているRPEが、遊走して硝子体腔内で入り、増殖型に変型、増殖型変換に対しLOが寄与する可能性が示唆された。 このようなRPEの動態の解明は、増殖細胞とコラーゲンの共同作用によって発生するPVRの硝子体手術による治療に付加すべき治療方法を開発する上で大きな貢献と成りうる。
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