| 研究概要 |
1.副腎皮質ステロイド薬の投与で産生される特異的な蛋白で,家族性の緑内障でこの蛋白の産生に関与する遺伝子異常が報告されているミオシリン蛋白の隅角組織における分布を電子顕微鏡免疫組織化学的に調べた。その結果、正常,隅角発育異常緑内障遅発型,落屑緑内障,原発開放隅角緑内障で,ミオシリン蛋白が隅角線維柱帯の線維柱細胞内および細胞外マトリックス中の細顆粒物質,長周期コラーゲンに存在することが明らかになった。さらに,光学顕微鏡二重免疫染色の結果,線維柱帯の細胞外マトリックスではミオシリン蛋白とVI型コラーゲンとが同じ部位に分布することがわかった。
2.隅角部の細胞外マトリックス代謝の緑内障に対する影響を調べる目的で,ヒトおよびラットのMMP-2,TIMP-3の線維柱帯および毛様体における分布を免疫組織学的に調べた。その結果,MMP-2,TIMP-3共に,正常状態で線維柱帯および毛様体に発現していることが分かったが,その意義などについては今後検討する予定である。
3.副腎皮質ステロイド薬の眼圧および線維柱帯の細胞外マトリックスに及ぼす影響について検討する目的で,サル眼に副腎皮質ステロイド薬を結膜下注射して,眼圧の経過を調べると共に,隅角組織を形態学的に調べた。その結果,ステロイド薬の投与で眼圧が上昇した例はなかった。ステロイド薬投与眼では,非投与眼に比較して線維柱帯の細胞外マトリックスが増加している傾向があった。今後詳しく検討する予定である。
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