研究課題/領域番号 |
12671734
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
小児外科学
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
蛇口 達造 秋田大学, 医学部, 助教授 (00124644)
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研究分担者 |
吉野 裕顕 秋田大学, 医学部, 助手 (90182807)
加藤 哲夫 秋田大学, 医学部, 教授 (20004963)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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キーワード | 短小腸 / 腎線維化 / 一酸化窒素(NO) / アルギニン欠乏 / シトルリン / マイクロダイアリシス |
研究概要 |
【目的】ヒト短腸症候群の腎で発症するtubulointerstitial fibrosis(TIF)の機序を明らかにすることを目的に、短小腸モデルで、先ず微小透析灌流法(マイクロダイアリシス)による腎組織内アルギニン(Arg)、シトルリン(Cit)および一酸化窒素(NO)の代謝産物であるNOx(N02-/N03-)濃度を経時的に測定し、腎の血流と関係するNOの変化を観察した。次に、腎の組織化学染色でNO合成に関与するアルギノコハク酸合成酵素(AS)の局在と変化を観察し、短小腸におけるTIFとArg代謝との関連を検討した。【対照と方法】雄性、SD系4週ラットに90%近位側小腸切除を施行し、各々を代謝ケージに収容した。術後第1日目から成分栄養剤(エレンタールP)を基本食とし、4日目から2群に分け、ArgかGlyを添加、等熱量、等窒素量に調製、40kcal/匹/日(50ml/匹/日:1群;Arg186mg、Gly30mg/日、2群;Arg86mg、Gly190mg/日)で飼育した。同時に、非切除・単吻合を施行し、切除群と同様に飼育し対照群とした。術後3週と6週で賢組織内にマイクロダイアリシス用プローブ(透析膜長3mm)を埋め込み、NO関連アミノ酸濃度とNOの代謝産物であるNOxの測定を、無拘束下に実験食を投与し30分毎に24時間サンプリングし測定した。形態学および免疫組織化学的検討は、術後6週、腹部大動脈から脱血し犠死後に腎摘し、ホルマリンで固定後パラフィン包埋し、H-E染色、AZan-Mallory染色および免疫組織化学染色行った。【結果】1群の血漿Arg濃度は3週で対照群と差はなかったが、6週では1と2群とも対照に比し低値であった。2群は尿中オロト酸排泄量が多く、血漿Arg濃度は3週で低く、Arg欠乏状態にあった。腎実質内Arg濃度は食事で増加し経時的に減少するが、2群の頂値は対照に比較して低値であった。Citは両群とも低値で推移した。術後3週に測定した腎実質内NOx濃度の変化は、Arg添加の1群では、対照群と同様で、2群に比較して高く維持された。賢臓の組織学的検査では、ASは近位尿細管上皮内に存在し、2群で近位尿細管の萎縮と間質の線維化が強く認められ循環障害が示唆された。【まとめ】腎組織内Arg濃度の推移から短小腸ではArg合成が少ないこと、Arg欠乏による腎微小循環の異常が示唆された。Argの添加で、NO産生が対照群と同様に維持され、TIFを予防できることが示唆された。
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