研究概要 |
平成13年度は以下の実験によりラット小腸移植の拒絶反応機構をレシピエントにおけるグラフト腸間膜リンパ節の変化から機序の解明を検討した.これをもとに細胞移入による小腸移植の免疫寛容導入法を検索する. 【方法】 1.ドナーとしてBNラット,レシピエントとしてLEWラットを使用し,異所性小腸移植を行った.実験群はFK506投与群(0.5mg/kg/day:28日間)と非投与群を作成し,グラフト腸間膜リンパ節内lymphocyteのrepopulationとphenotypical change及びapoptosis細胞数を経時的に観察した. 2.さらにグラフト腸間膜リンパ節のcytokineの発現をRT-PCRにより検討した. 【成績】FK群では全例100日以上のgraft survivalが得られたが,長期生着例には,組織学的に慢性拒絶の所見が認められた.一方,非投与群では全例10日以内にグラフトは拒絶された.グラフト腸間膜リンパ節のlymphocyteは両群とも移植後急速にrecipient-typeに置換された.非投与群でCD8T cellの比率とapoptosis細胞が増加するのに対して,FK群ではこの増加が抑制されていた.FK群ではグラフト腸間膜リンパ節内donor cellにおけるB7-1,B7-2の発現が移植後早期に減弱していた.さらにグラフト腸間膜リンパ節におけるIFN-gamma, IL-10の発現はグラフト腸管での発現に先行して認められた.
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