平成12年度は神経芽腫の腫瘍検体をもちいて神経芽腫の増殖に血管新生がどのように関わっているかを研究した。 血管新生に関与する因子の神経芽腫の腫瘍組織における発現についての検討 神経芽腫には比較的悪性度の低いものから、悪性度の高いものまで様々な腫瘍が存在することが知られている。そのため、まず、病理組織やStageなどから様々な28例の腫瘍検体を収集した。それらの腫瘍からRNAを抽出し、PCR (polymerase chain reaction)法を用いて、血管新生因子の発現について検索した。血管新生因子として、これまでに多くの癌でその発現が腫瘍の増殖と関わっていることが示唆されている、VEGF (vascular endotherial growth factor)-A、 VEGF-C、 bFGF (basic fibroblast growth factor)およびThymidine phsphorylaseの4つを選んで、神経芽腫における発現について検索した。その結果、これらの因子が神経芽腫でも発現していることが示された。現在、定量PCR法によって各腫瘍における発現量の差を解析し、神経芽腫の増殖、進行との関係について統計学的手法を用いて検討しているところである。今後は、神経芽腫においてどの因子が最も重要であり、また、それを制御することが治療上の意味があるのかを検討し、新しい治療法の開発を目指してゆく予定である。
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