研究概要 |
1.胎児内視鏡手術の開発 ヤギ胎仔を用いた低侵襲性治療の開発を目的として、超音波エコーガイドによる子宮内胎仔にたいする気管内挿管とデタッチャブルマイクロバルーンによる気管閉塞の技術開発に関する検討を行った。妊娠子宮への侵襲を可及的に軽減させるために設置するポートは5mm径のもの1本とし、これを直接胎仔の口腔に挿入した。以後の操作はすべて超音波ガイド下に行なわれ、長軸方向に胎仔気管を描出することにより気管内へのバルーン挿入が可能となった。胎仔は最長5日間の妊娠継続が可能となったが、いずれも子宮内胎児死亡により失われた。技術的なfeasibilityはほぼ達成可能と思われるが、胎仔と子宮に対するより低侵襲なhandlin法と新たな子宮収縮抑制法の開発が今後の課題となった。 2.低形成肺における成長因子発現の変化 肺の組織発生に関連するKGE, FGF-10,Bmp4の発現につきnitrofen投与による低形成肺モデルを用いて検討をおこなった。KGFはE14の肺ですでに発現していることがin situ hybridizationにより確認されたが、KGF mRNAの発現の異常については再現性のある成績が得られていない。一方、Bmp4の発現は全身レベルでE12より認められ、nitrofen群および対照群では差異が見られなかった。しかしこれらの肺における発現はE16-E18の間に一旦低下し、しかもその時期は低形成肺群ではより早期に観察されている。これらの事象をin vitroモデルで検討するために器官培養システムの開発を行い、E12の胎仔肺を72時間まで培養し、branching morphogenesisを維持することを確認している。今後薬剤によるmodulationを含めて低形成肺に対する新たな治療開発を目指した検討をおこなう。
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