研究概要 |
【目的】ラットを用いた膀胱移植及び移植膀胱利用膀胱拡大術の可能性を検討した。 【方法】Brown NorwayあるいはLewis系乳幼仔ラットから膀胱を摘出、6週齢Lewisラットの大網に移植した。 同系群(Lewis→Lewis:20匹)。 同種群(Brown Norway→Lewis)は以下6Groupに分類。Group I(n=12)にはFK506を投与せず、Group II(n=16;FK:0.2mg/kg)、III(n=22;FK:0.6mg/kg)、IV(n=16;FK:1.2mg/kg)にはFK506を犠牲死まで投与し続けた。Group V(n=12;FK:0.6mg/kg)、VI(n=12;FK:1.2mg/kg)には移植直後より2週間のみFKを投与し、免疫寛容が得られるかを検討した。また、同系群(n=10)と同種群のGroup III(n=6)のラットでは、移植後10日目に移植膀胱をレシピエント膀胱に吻合、移植膀胱利用膀胱拡大術を施行した。移植後第3、4、5、6週にグラフトを摘出、また膀胱拡大術を行ったラットにおいては術後4週に新膀胱を摘出し、病理学的にその生着状況及び拒絶反応を評価した。 【結果】1.同系群:100%のグラフト生着率が得られ、膀胱拡大術も全例で成功した。2.同種群:Group I,II,V,VIでは拒絶反応を認め、免疫寛容を得ることができなかったものの、Group IIIとIVでは拒絶反応を認めなかった。膀胱拡大術は全例で成功し、新膀胱内腔全域に正常な膀胱粘膜を認めた。 【結論】移植膀胱利用膀胱拡大術が可能であり、ラット同種膀胱移植において、0.6〜1.2mg/kg/dayのFKを連日筋注投与することで拒絶反応が抑制された。また、今後大動物を用いて同様の膀胱移植を試みる予定である。
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