研究概要 |
創傷治癒過程におけるNOの関与について明らかにするため,初年度は研究モデルとしての培養皮膚モデルを確立した。 真皮コラーゲンスポンジに培養線維芽細胞を播種し,さらに表皮コラーゲンスポンジをのせ,その上に表皮角化細胞を播種,気液界面培養を行うことにより複合培養皮膚を作製する方法は開発しているが,免疫不全動物に移値し生着させるために必要な播種細胞数の条件を明らかにするため以下の実験を行った。 手術中に得られた皮膚組織を患者の書面での同意を得て研究に使用した。皮膚をdispase処理し表皮と真皮に分け,おのおのから角化細胞と線維芽細胞を取り出し培養した。細胞のキャリアとして、熱架橋、化学架橋を加えたポアサイズ90μmの真皮部コラーゲンスポンジと熱架橋のみ加え化学架橋を加えていないポアサイズ15μmの表皮部コラーゲンスポンジを使用した。真皮部スポンジ上に線維芽細胞を播種し,6時間後この上にスポンジBを重ね角化細胞を播種し、12時間気液界培養し次の移植実験を行う。播種する角化細胞,線維芽細胞数は1×10^4まで段階的に比較検討した。SCIDマウスの背部に3cm平方の全層皮膚欠損部を作成した後、培養皮膚を移植した。移植1,2,4週間後に肉眼的観察と組織学的検討を行った。1×10^5/cm^2の角化細胞,線維芽細胞数で培養皮膚の良好な生着が得られることがわかった。 今後このモデルを使用し,NO合成酵素阻害剤などの投与効果を検討する。
|