研究概要 |
ヒト間葉系幹細胞は、正常骨髄中に存在し、脂肪、筋、軟骨、骨などへの分化能を有するが、細胞表面マーカーによるフロー・サイトメトリー法により,高度に分画し得られた、human mesenchymal stem cell(hMSC)と骨形成、血管新生サイトカインを用いて、頭蓋骨欠損モデルでの骨再生につきin vitroおよびin vivoにて検討した。 まず、In vitroアッセイでは、1×10^5個の細胞播種し,維持培地にて5日間培養後,デキサメサゾン、アスコルビン酸、β-グリセロリン酸を含む骨芽細胞分化培地に交換し、更に、bFGF(2.5ng/ml)およびBMP-2(50ng/ml)添加しアルカリフォスファターゼ細胞活性を測定した。bFGF、BMP-2と幹細胞培養では骨結節を認め、細胞陽性を示した。(29.0 vs. 11.2 cells/field, bFGF, BMP-2,幹細胞対幹細胞のみ、p<0.01)ついで、10週令Wistar系ラットの頭頂骨の左右に各1ケ所づつ直径4mmの骨欠損部を作成した。担体としてゼラチンスポンジを使用し、これを骨欠損部分に挿入した後、幹細胞のみ(1×10^6個)5μ1の群、幹細胞にbFGF(10μgまたは100μg)添加群、幹細胞にBMP-2(10μg)添加群、幹細胞とbFGF、BMP-2の混合添加群でラットは術後2、4、9週に安楽死させ、骨欠損部を含めて頭頂骨を切り出し、肉眼的観察、Dual energy x-ray absorptiometry(DEXA)を用いて、骨欠損部の骨密度を計測した。また薄切標本を作製し、組織観察およびアルカリフォスファターゼ免疫組織染色した。骨塩量は、4週で幹細胞にBMP-2又はbFGFを添加した群で有意な上昇を示し、幹細胞に混合添加した群で最大でした。(25.5対38.5mg/cm^2、対照 対 幹細胞と混合添加、p<0.05)尚、骨塩量は8週までにどの群でも有意差はなくなり、全群骨治癒を認めた。H&E染色標本においても、2週で幹細胞とbFGF群では肉芽形成を認め、成熟骨も一部に認めた。幹細胞にBMP-2添加した群では細かい骨稜を認め、幹細胞と混合添加群で骨化が最も進んでおり骨芽細胞の裏打ちも見られた。4週で幹細胞とbFGF添加群で骨稜パターンは少なく、幹細胞とBMP-2添加群で層状構造を示し、骨髄間隙の形成が見られ、幹細胞と混合添加群では骨細胞を認め、周囲の骨芽細胞の発現パターンが明確になった。9週までに全群で骨稜パターンがはっきりしてきた。アルカリフォスファターゼ染色では、2週、4週と順時に骨稜パターンと塩基性ミネラルパターンに一致し幹細胞と混合添加群に発現パターンを認めた。
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