研究課題/領域番号 |
12671753
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
百束 比古 日本医科大学, 医学部, 教授 (00165135)
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研究分担者 |
中沢 南堂 日本医科大学, 医学部, 講師 (20010051)
村上 正洋 日本医科大学, 医学部, 助手 (00239500)
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キーワード | ケロイド / 肥厚性瘢痕 / p53遺伝子 / 遺伝子多型性 / NMR / PCR / apoptosis / DNA-microarray |
研究概要 |
研究申請の2年度となり、前年度の成果を更に確実かつ評価に堪えうる情報として発展させ、その結果を専門誌に原著として掲載することができた。 1)1H-NMR法を用いて、ケロイドと肥厚性瘢痕の細胞内代謝産物を計測し、その結果を臨床診断の結果と対比し、それらの判別指標と成りうることを明らかにした。すなわち、ケロイドは乳酸値において高度肥厚性瘢痕、肥厚性瘢痕、健常皮膚との間に有意差を認め、酢酸値ではケロイドと肥厚性瘢痕間で有意差を認めた。アラニンでは何れの間にも有意差は認められなかった。耳部腫瘤は乳酸値において肥厚性瘢痕および健常皮膚との間に有意差を認めた。この結果から、ケロイドが高度肥厚性瘢痕、肥厚性瘢痕、健常皮膚よりも嫌気性代謝が亢進していることが示唆され、ケロイドの線維芽細胞が活発なコラーゲン産生時に必要なエネルギーをTCA回路ではなく嫌気的なE-M回路を活性化して獲得していることが判明した。 2)p53遺伝子exon-4領域内のCodon-72部を含む114base pair(bp)部分につきその転移活性を、DNA-Sequence分析を用いて塩基配列を確認した。さらに、対立遺伝子(allele)別のmRNA転写活性確認のためケロイド由来培養線維芽細胞からRNAを抽出し、mRNA selective RT-PCR法によりDNAを増幅後p53遺伝子の転写活性とPFLP法およびDNA-sequence分析により塩基配列を調べた。その結果、肥厚性瘢痕患者群においてp53 Codon72部位の多形性分布は、正常日本人に比べて有意な偏りが見られ,Pro-alleleを有する頻度が高い結果であったが、ケロイド患者群においては有意な偏りは見られなかった。また、耳介ケロイド群のみの結果では他の部位、原因によるケロイド群に比し高いArg-alleleの存在が見られた。また、この群にはPro-alleleを保持する例はなく、control群との間に有意な差が認められた。 3)p53遺伝子のxon-4領域遺伝子配列に差のある細胞系につき、apotosis誘導因子処理後のp21遺伝子と蛋白の発現性を比較検討したが、顕著な差は認めなかった。 4)ケロイドおよびHS組織からmRNAを抽出しDNA Expression Microassayによりそれぞれの遺伝子発現性につき健常皮膚との差次的発現の分析実験を行った。
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