研究概要 |
平成14年度はまずIn vitroの系としてこれまで行ったラット歯髄細胞の培養系とラジオアイソトーブ標識を用いた実験を論文として出版した(Arch. Oral. Biol. 47,435-442)。この論文ではin vitroで合成されるversican様の大型プロテオグリカンの構造上の特徴を明らかにした。またサルの歯髄を直接覆髄した際に形成されるvon Korf-like fiber(VKF)の形成過程に関する電子顕微鏡的研究の結果も論文として出版した(lnt. Endodont. J. 35,996-1004)。この論文ではVKFは太い部分(thick fibril portion)と細い部分(thin fibril portion)の2つの成分で構成され、特に細い部分は歯髄の線維芽細胞との関係が深いことが理解された。また歯髄プロテオグリカンの機能を検索するためのin vivoの系としてPTHrPノックアウトマウスの歯髄組織の観察を免疫組織化学とin situ hybridizationの手法を用いて行った。このマウスでは歯胚周囲の歯槽骨の増殖が著しく骨梁によってversican,ヒアルロン酸を中心とした歯髄組織の細胞外基質が圧迫され、コントロール(Wild-typeマウス)と比較すると明らかにversican mRNAの発現の亢進が認められた。その結果versicanは軟骨のaggrecan同様外力に抵抗する能力があることがわかった。この結果は学会発表を行って現在論文作成中である。来年度は総まとめとしてin vivoの覆髄実験とin vitroの石灰化に関する実験を行う予定である。
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