研究概要 |
1)細胞培養:遺伝子導入および対照とする培養細胞、正常唾液腺上皮細胞((1)野生型一p53 細胞:HPAMl, HPAFl、(2)non-functional-p53細胞:NS-DV, NS-MV)、および唾液腺腺様嚢胞癌細胞(ACC2, ACC3)およびその高転移株(ACCM)、さらに口腔粘膜由来扁平上皮癌細胞(ZK-1, ZK-2)およびその高転移株(MK-1)を、それぞれに適応する条件下で培養し、増殖曲線を把握した。 2)遺伝子導入実験:高度で広範かつ症例間で共通する変異遺伝子断片を含むDNA断片(PCR産物)を、適切な制限酵素によるクローニングサイトを切断し、プラスミドに組込みことをこころみたが、現在までのところ、組込みならびにプラズミド精製に成功しておらず、遺伝子導入が完了していない。引き続き改良を続ける予定である。 3)DNAチップ解析:上記細胞からTotal mRNAを抽出し、ノザンブロット法にて細胞周期の変化を観察するとともに、cDNAを逆転写合成し、蛍光標識後DNAマイクロアレイ法のためにDNAチップにハイブリダイズして、発現遺伝子の特徴を検索した。その結果、高転移株とそれ以外の細胞では、細胞接着、細胞外基質、細胞増殖、細胞死等に関連する遺伝子発現に一定の高低差があることが判明した。その結果とp53遺伝子変異様式の関連について検討をすすめているところである。 4)唾液腺腫瘍の血管分布:唾液腺腫瘍にはその血管分布様式に特徴があり、とくに多形性腺腫、腺様嚢胞癌では、血管分布に乏しいことが判明した。これらの腫瘍では、p53遺伝子の特異的変異性が低く、腫瘍構築の成立に同遺伝子の関与が少ないことが示唆された。
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