研究概要 |
C型肝炎ウィルス感染のリスクファクターの一つと考えられている歯科治療における感染実態を研究する目的で,治療中に使用された止血ガーゼを収集し,HCVRNA陽性患をスクリーニングする為に下記の様な検索を行い,以下に示した結果を得た。 1 止血ガーゼの収集 本学口腔外科を受診した患者の中から,抜歯などの観血処置を行った際に使用された使用済み止血ガーゼを15mlのサンプル管に一枚づつ入れ,原則として2本収集した。診断名は智歯囲炎,辺縁性歯周炎あるいは歯根嚢胞などが大部分であった。サンプルの収集は,本研究費の受給が決定後に開始されたため,検体数は予想以上に少なく,2001年3月1日現在,273症例であった。また抜歯症例の減少あるいは十分な血液の付着が得られない症例があったことも,サンプルの減少の要因と思われる。しかし,平成13年度も引き続き止血ガーゼの収集を実施する。 2 試料の抽出 凍結保存しておいたガーゼを速やかに解凍し,2mlのPBSと3mlのTRIzolをサンプル管に入れ10mlのディスポーザブルシリンジに移して絞り,血液を抽出した。 3 HCVRNAのRT-PCRによる検出 購入したBioRad社製iCycler(松本歯科大学口腔病理学講座研究室に設置)を用いてRT-PCRを行った。 その結果,145bpの陽性バンドを4例で確認した。すなわち今回のシリーズでのHCVRNA陽性患者の率は,約1.45%であった。 4 HCV抗体検査と遺伝子配列の決定 上記の4例について,いずれについても現在検索中である。
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