研究概要 |
C型肝炎ウィルス感染のリスクファクターの一つと考えられている歯科治療における感染実態を研究する目的で,平成12年度に引き続き、治療中に使用された止血ガーゼを収集し,HCV RNA陽性患者をスクリーニングする為に下記の様な検索を行い,今年度は以下のような結果を得た。 1.止血ガーゼの収集 本学口腔外科を受診した患者の中から,抜歯などの観血処置を行った際に使用された使用済み止血ガーゼを15mlのサンプル管に一枚ずつ入れ,原則として2本収集した。 (1)診断名は智歯囲炎,辺縁性歯周炎あるいは歯根嚢胞などが大部分であった。 (2)サンプル数:今年度308例、(本実験の総サンプル数は581例) 抜歯症例の減少と出血の少ない単純抜歯が多かったことで、サンプル数が減少したと考えられた。2002年3月11日をもって予定された2年間のサンプル収集活動を終えた。 2.試料の抽出 凍結保存しておいたガーゼを速やかに解凍し,2mlのPBSあるいは3mlのTRIzoLで血液を抽出した。なお量の少ないサンプルはRNA検出用のみの採取となった。 3.問診結果の検索 4名が感染の既往を申告しており、問診による陽性率は約1.30%であった。 4.RT-PCRによるHCV RNAの検出、HCV抗体検査および遺伝子配列の決定 サンプルの収集を終えた直後であり、さらに試薬節約のため、一括処理をしているので、現在検索中である。したがって全例検索後に、シークエンスを決定し、分子系統樹の解析も行う。
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