研究概要 |
急速凍結技法を試料作製に用いて、骨吸収窩と破骨細胞刷子縁の超微細構造を観察した。急速凍結固定・ディープエッチング法によるレプリカ像は、試料の切削、割断面から氷の層が昇華除去され、破骨細胞内外の構造が深いレリーフとして浮かび上がって観察された。 凍結置換の電子顕微鏡像観察で刷子縁の形態は指状突起finger-shapedと葉状突起foliate-shapedに区分(Akisaka T. et al.,1997)されているが、本研究のディープエッチング・レプリカ像で刷子縁の連続的な形態がはじめて示された。指状突起は葉状突起の深い陥入から連続的に形作られている。刷子縁が横断された面では突起の中心に芯を形成するように格子状をあらわす細胞骨格の構成要素が観察された。格子状構造は膜内面と接続する細胞裏打ち構造が認められる。刷子縁突起の機能的支持と膜タンパク、細胞骨格の構成要素の付着を示唆しているが、今回明らかにすることはできなかった。このことは刷子縁の極性(膜貫通タンパクの違いやエンドサイトーシス、エクソサイトーシスの機能的違い)を反映している可能性がある。 側基底膜側の細胞膜は平坦で、刷子縁の様な膜の陥入が観察されない。細胞質には多量のミトコンドリア、r-ER、細管小胞構造が観察される。
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