研究概要 |
(1)骨粗鬆症や骨代謝疾患におけるビタミンK1、ビタミンK2各同族体の生理的ならびに病態生理的な役割と動態を解明するために、血中ならびに骨中のビタミンK同族体の簡易高感度測定法の確立を検討した。その結果、従来法に比べ微量な試料で各ビタミンK同族体を簡易・高感度(検出限界:2〜10pg)に定量できる、逆相系分離カラムを用いた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)と白金触媒還元-電気化学酸化検出法(ECD)を組み合わせたHPLC-白金還元・ECD法を確立した。(2)成長期のラットを用いた動物実験で、フェニトインが骨代謝に与える影響を、軟X線を用いた骨密度の測定とHPLCによる骨中ビタミンK同族体濃度を指標として検討した。抗てんかん薬フェニトイン20mg/kg5週間連続投与による骨密度減少が起こり,臨床でみられる抗てんかん薬長期投与による骨量(骨密度)減少を基礎研究の面から再現し,動物モデルとして確立した.また,フェニトイン投与により大腿骨骨梁骨領域における、ビタミンK1およびビタミンK2(MK-4、MK-5、MK-6)濃度の有意な減少が観察された。フェニトインと1α-(OH)-D3の併用投与で、フェニトインによるBMD減少に対するある程度の抑制効果が観察され、また、大腿骨骨梁骨領域における、ビタミンK1およびビタミンK2(MK-4、MK-5、MK-6)濃度はフェニトイン単独投与郡に比べて若干高い値を示した。【結論】フェニトインによるBMD減少は骨梁骨領域で骨中のビタミンK同族体濃度の減少を伴う場合があることからフェニトインによるBMD減少でのメカニズムのなかにビタミンK同族体の消長の関与が示唆された。
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