研究概要 |
脊髄後角侵害受容ニューロンにおけるC放電はNK-1受容体拮抗薬により抑制されることから,急性痛においてもsubstance Pが関与していることを示してきた.さらに,この事実はすべてのニューロンではなく,視床投射ニューロンなどにはあてはまらないことも示した.一方,脊髄侵害受容ニューロンは大縫線核や中心灰白質の電気刺激により強力な抑制を受けることがよく知られている. 本研究はNK-1受容体の役割と下行抑制の効果の関係について調べたものである. 1.方法 pentobarbital(50mg/kg, i.p.,5mg/kg/h, i.p.)で麻酔し,pancuronium bromideで非動化したWistar ratを用い,頚髄より上位に投射せずまたwind upを示さない脊髄後角1層ニューロンから記録を行った.受容野の電気刺激によるC放電に対する大縫線核電気刺激の効果を調べた後,rat NK-1 receptor antagonistであるRP-67580を記録部位周辺に30-180nmol投与し,60分間以上反応を調べた. 2.結果 大部分のニューロンが大縫線核刺激によりC放電が抑制されるが,その中から抑制を受けた28個と受けなかった7個のニューロンを選びRP-67580の効果を調べた.その結果、抑制されたもののうち25個はRPにより抑制されたが,抑制されなかったものうち6個はRP耐性であった. 3.結論・考察 以上の結果はNK-1受容体の機能とserotonin系下行抑制の正の相関を示すものである.現在この結果の機能的意義について検討している.
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