研究概要 |
(1)マイクロアレイ法による軟骨分化関連遺伝子の解析 前軟骨細胞株ATDC5において、この細胞がインシュリン存在下、軟骨細胞へ分化する過程で細胞内で変化する遺伝子をcDNA発現アレイで解析した。その結果、発現が変動するケモカインあるいはその受容体(CCR2)などの数種の遺伝子を見い出した。 (2)マイクロアレイ法による軟骨疾患関連遺伝子の解析 cDNA発現アレイによって、軟骨疾患に関わる遺伝子の解析を行った。その結果、変形性関節症ではSTAT, PKC, caspase, IGFBP、慢性関節リウマチではCDC25,RHO, FGF7などを単離した。また、c-fos、c-junの発現も慢性関節リウマチにおいて若干上昇していた。その中で、アポトーシス関連遺伝子caspase-9は、特に変形性関節症の関節軟骨組織に多く発現しており、TUNEL染色陽性組織と相関していた。 (3)軟骨肉腫由来軟骨細胞株HCS-2/8に対する軟骨成長因子CTGFの作用解析 CTGFがHCS-2/8細胞の増殖、分化を促進することを見い出した。この際、細胞内遺伝子発現変化をcDNA発現アレイで解析した結果、ERKあるいはp38などのMAPキナーゼ系が活性化されていることが明らかとなった。実際にERKあるいはp38などのMAPキナーゼ阻害剤を用いて解析した結果、CTGFによる増殖促進作用はERKを介しており、分化促進作用はp38を介していることが明らかとなった。 (4)軟骨肉腫由来軟骨細胞株HCS-2/8より単離した軟骨成長因子CTGFの作用解析 軟骨成長因子CTGFを過剰発現するトランスジェニックマウスを作製した。II型コラーゲンのプロモター下流でCTGFを発現するトランスジェニックマウスは、正常マウスに比較して矮小であり、さらに、X線撮影の結果、骨密度が低下していることがわかった。
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