研究概要 |
ヒトのDEC1遺伝子をクローニングして、その全一次構造を決定した.全長約5kbのDEC1遺伝子は,5つのエクソン4つのイントロンから構成されていた.また,上流約3kbまでのプロモータ領域の配列も決定したところ,2つのcAMP応答エレメントと5つのE boxなどがあり,また,転写開始点付近にはTATAボックスはなく,複数のGCボックスが存在した. そのDEC1遺伝子プロモータから,長さの異なる6種類の断片を作製し,プロモータ活性測定用ベクターにクローニングし,培養細胞へ導入したところ,すべてのクローンに高いプロモータ活性が認められた.現在,cAMPなどの様々な誘導物質を添加して,それに対する応答性を検討中である. 様々な細胞でのDEC1の発現誘導についてmRNAレベルで調べたところ,多くの細胞株でcAMPあるいはPTHで,その発現が短時間で誘導されることが明らかになった.さらに,誘導されたDEC1 mRNAの発現量はすみやかに低下し,その後再び上昇する傾向が認められた.また,様々な組織でのDEC1の発現量を時間を追って調べたところ,夜に高く,昼には低い周期性を持っていることも明らかになった. さらに,軟骨細胞への分化能をもつATDC細胞株にDEC1 cDNAを安定導入したところ,DEC1の過剰発現株では,軟骨細胞への分化能も高いことが明らかになった.
|