研究課題/領域番号 |
12671810
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
宮本 武典 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (10167679)
|
研究分担者 |
宮崎 敏博 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (10174161)
|
キーワード | バイオアッセイ / 味刺激 / 伝達物質 / アミノ酸 / アセチルコリン / ペプチド / 有廓乳頭味細胞 / エブネル腺 |
研究概要 |
剥離上皮の粘膜側全体の味刺激時に漿膜側に分泌される物質を高速液体クロマトグラフィーで測定すると、NaClおよびクエン酸刺激ではセロトニンが、ショ糖刺激ではエンケファリンやコレシストキニンのようなペプチド性の伝達物質候補物質が検出された。それ故、前年度には上皮付き味蕾標本を用いた局所味刺激法によるNaCl、KCl、クエン酸およびグルタミン酸ナトリウムの4種の味刺激時に味細胞から放出される物質をカーボンファイバー電極による電気化学的測定法を用いて検出することを試みたが、いずれの味刺激によってもモノアミン性の伝達物質候補物質は検出されなかった。免疫組織学的にはセロトニンを豊富に含有する味細胞の存在が示唆されてきているにもかかわらず、本実験の結果は味細胞の伝達物質はモノアミン以外であることを示唆する。グルタミン酸受容体のいくつかのサブタイプの検出を免疫組織学によって試みたが、何れも味神経側では検出されなかった。以上の結果から、味細胞から味神経への伝達物質はアセチルコリン、グルタミン酸以外のアミノ酸もしくはペプチドであると考えられる。本年度はこれらの受容体を発現していることが分かっている有廓乳頭味細胞-エブネル腺複合体を用いてバイオアッセイを行った。その結果、(1)有廓乳頭味孔部への苦味刺激は緩徐な時間経過でエブネル腺腺房細胞の電位依存性外向きK^+電流を抑制すること、(2)一方、酸味刺激がエブネル腺腺房細胞に緩徐な内向き電流を誘発することが明らかになった。これが有廓乳頭から分泌された物質による傍分泌的なエブネル腺腺房細胞刺激作用のためであるとすると、本実験の結果は(1)苦味と酸味とでは伝達物質が異なること、また(2)これらの伝達物質受容体がエブネル腺腺房細胞に存在することを示唆する。現在、このアッセイ系を用いて各種受容体の阻害剤の作用を検討中である。
|