研究概要 |
レニン-アンギオテンシン-アルドステロン系の一員として知られるアンギオテンシンIIは、中枢神経系および末梢神経系で神経伝達物質であることが知られている。申請者は、これまで以下のことを明らかにした。 (1)アンギオテンシンII(AngII)は、ハムスター顎下神経節細胞のAT_1受容体を介して脱分極電位を発現する。(2)そのAngII脱分極は、膜抵抗の減少を伴なう成分と膜抵抗の増加を伴う成分からなっている。(3)膜抵抗を減少する成分は、MチャネルとCa^<2+>活性化K^+チャネルの閉鎖によって生じる。(4)Ca^<2+>活性化K+チャネルの抑制はAngIIによる高閾値活性化Ca^<2+>チャネル抑制の結果である。(5)高閾値活性化総Ca^<2+>電流を記録してL型、N型およびP/Q型Ca^<2+>電流を分離して、AngII(1μM)の効果を調べた結果は、次の通りであった。L型Ca^<2+>電流は59%、N型Ca^<2+>電流は43%、P/Q型Ca^<2+>型は0%の抑制を受けた(ハムスター顎下神経節細胞の高閾値活性化総Ca^<2+>電流におけるL型,N型,P/Q型電流成分の割合は、それぞれ48%、36%および13%(Endoh and Suzuki,1998)であった)。(6)AngIIは、L型およびN型カルシウム電流を電位依存性に抑制した。(7)この抑制は、GTP結合蛋白のGβ、Gγサブユニットを介していた。(8)AT_1受容体特異的遮断薬ロサルタンの濃度依存性効果は、現在検討中である。(9)I-V曲線を描きAngIIの抑制効果の電位依存性の全体像の理解は、ほぼ検討を終了している。
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