研究概要 |
(1)研究背景 骨の形成と吸収を制御する因子として、サイトカインの役割は広く認識されており、大量のサイトカイン処理は細胞に対し毒性を発揮し、最終的にアポトーシス様細胞死を惹起すると報告されている。(2)研究目的 1)サイトカインによる骨芽細胞(MC3T3-E1 cells)のアポトーシス様細胞死がどのような細胞内シグナルにて惹起されるか。具体的にはFas/Fas Ligandによるautocrine death systemが存在するかどうかついて、基礎的な検討を行った。(3)結果 1)炎症性サイトカイン(IL-1β,TNF-α,IFN-γ)で処理することは、強い細胞増殖抑制および細胞死を示し、FACSを用いたAnnexin-V/PI double stainingによりこの細胞死がアポトーシスを介したものと確認した。2)サイトカイン処理によりFas mRNAならびにproteinが産生誘導されたが、これはシグナル伝達の鍵分子であるMAP kinaseの阻害剤(PD98059,SD203580)前処理にてなんの影響も受けなかった。3)Fasの生体内リガンドであるFas ligandが恒常的に本細胞に存在することを確認した。4)Fas Ligandの添加はサイトカイン誘導アポトーシスをさらに亢進させた。以上のことから骨芽細胞におけるサイトカイン誘導アポトーシスはFas/Fas Ligandによるautocrine death systemの活性化を介して起こることが示唆された。現在、実験結果を踏まえての総括的な考察及び付加的実験を行っている。結果の一部は歯科基礎医学会、JADR、IADR大会、日本歯科保存学会にて発表を行い、また現在、掲載論文(Archs Oral Biol.)が印刷中である。
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