平成12年度の結果、骨細胞にはメカニカルストレス(MS)により活化さるCI-チャネルが存在し、このチャネル自身がMS受容器として働いている可能性が明らかとなった。また、活性化されるCI-電流の外向き整流性や陰イオン透過性および薬理学的性質が、真核細胞においてMSによる細胞容積調節に関与すると報告されているCLC3型CI-チャネルと類似していることも分かった。従って、平成13年度は、この骨細胞においてMSにより活性化されるCI-チャネルが、CLC型CI-チャネルの内、どのタイプのCI-チャネルなのかを免疫染色法や分子生物学的手法により検討した。まず、新生児ラット頭蓋骨より骨細胞を採集し、ABCによる二次抗体法と蛍光免疫染色法によりCLCチャネルタンパクの発現を検討した。その結果、骨細胞にはCLC2及びCLC3型CI-チャネルが共に発現していたが、両者の発現量の差は明確ではなかった。次ぎに、骨細胞より、全RNAを調整しCLC型CI-チャネルの内CLC2とCLC3遺伝子及びハウスキーピング遺伝子のG3PDHの発現をRT-PCR法にて検討すると共に、その発現量(mRNA)を定量的に検討するためにDNAテンプレート(λDNA)を用いて各々のcompetitorを作成し、Competitive PCRにより発現量を比較した。その結果、CLC3遺伝子の発現量はCLC2に比較して圧倒的に多いことが明らかになった。また、活性化されるCI-電流を検討した結果からも、MS活性化CI-電流の性質はCLC3型CI-チャネルと類似していた。従って、骨細胞にはCLC2型CI-チャネルよりCLC3CI-チャネルが有意に発現しており、このCLC3型CI-チャネルが骨細胞のMS受容器として重要な役割を持つ可能性が示唆された。
|