今年度は顎顔面領域におけるCTアンギオグラフィー(以下CTA)およびMRアンギオグラフイー(以下MRA)の最適化について検討すると共に、臨床症例を蓄積した。CTAについてはすでにvolume rendering法による三次元画像表示の有用性について報告したが、撮像の際のX線ビーム幅を薄くすることによって、体軸方向の分解能が更に向上するものと考えられた。これは特に血管分岐部の描出能を向上させる上で有用であった。MRAに関しては、phase contrast法およびGd造影剤を併用したMRAの有用性を検討した。前者は前年度に検討したtime of flight法と比較して、抹消血管の描出に優れていた。しかし腫瘍の周囲等において血管の描出が不良となる場合が有り、この原因の一つとして腫瘍の圧迫による血管内血流速度の低下が考えられた。一方後者はGdのT1短縮効果によって血管が高信号に描出されるため、inflow効果を必要としないことが特徴である。現在のところ臨床症例への応用は僅かではあるが、パルス系列を3D gradient echo法としGdの急速静注を併用することによって、きわめて短時間のうちに描出能、分解能の比較的良好な血管像を得ることができた。今後顎顔面領域における同検査の有用性を向上させるためには、最適なパルス系列を確立すると共に、すでに胸腹部領域において実施されているようにtest injectionによるGd造影剤注入タイミングの最適化を行うことが重要であると考えている。
|