研究課題/領域番号 |
12671826
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
羽地 則雄 徳島大学, 歯学部, 助手 (30274228)
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研究分担者 |
石丸 直澄 徳島大学, 歯学部・附属病院, 助手 (60314879)
柳 久美子 徳島大学, 歯学部, 助手 (90294701)
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キーワード | 老化 / p16 / 自己免疫疾患 / 唾液腺 / モデルマウス / シェーグレン症候群 |
研究概要 |
老化に伴い発症頻度の高くなる自己免疫疾患の病態形成のメカニズムを解明する目的で、サイクリン依存性キナーゼインヒビターp16との関連性を解析した。P16は当初多種類の癌細胞にその遺伝子変異が認められたことから、癌抑制遺伝子として注目された分子であり、そのメカニズムは細胞に老化を誘導することで、増殖の制御を行っていることが判明している。シェーグレン症候群モデルNFS/sldマウス10週齢および17ヶ月齢各臓器におけるp16の発現をWestern blot法で解析した結果、17ヶ月齢マウス脾臓に強い発現を認め、10週齢マウスでは検出されなかった。この結果は個体の老化とp16の発現の相関を示唆する所見と考えられた。その他の臓器での発現は認められず、顎下腺および耳下腺に軽度の発現を認めた。免疫組織学的解析において、顎下腺、耳下腺に軽度のCD3陽性Tリンパ球の浸潤が認められたことから、p16は浸潤リンパ球由来であると考えられた。一般に、末梢T細胞は抗原刺激を受けた後、その表現形をナイーブ型からメモリー型へ変化させる。モデルマウス脾細胞より分離したT細胞を解析した予備的検討の結果、p16の発現はナイーブ型に較べメモリー型T細胞に強く認められた。以上の結果より、p16の発現は個体の老化に伴って亢進すること、さらに、リンパ球の活性化に伴って亢進することが明らかになった。今後は、末梢Tリンパ球におけるp16の発現と病態との関連性を詳細に解析することにより、病態を把握するための診断の一助に成り得るか否かを検討する。
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