研究課題
基盤研究(C)
VX2腫瘍細胞を白色ウサギの口底部に移植し、頸部リンパ節転移を惹起させ、原発巣および頸部リンパ節にたいしTHERMOTRON-RF8を使用し加温した。5症例いずれにおいても温熱治療による原発巣の制御は困難であった。経過観察期間の後の組織切片によると不十分な温熱治療により制御が不可能になっていることが明らかになった。超音波ドップラ法では、温熱治療後においては原発巣内部の血流は減少しているが、周囲血管の残存を認めた。すなわち周囲血管の残存が原発巣制御の妨げになっている事が示唆された。リンパ節転移の制御、予防に関しては疑問的であった。リンパ節転移過程において、超音波ドップラ法では一過性に血流が増大し、その後血流欠損部位の出現および増大をみとめ最終的には無信号になることが解っている。転移巣が、血流欠損部位として描出される程度の大きさであれば温熱治療による短径の減少は認められず、周辺の血流の残存が認められた。切片上でも腫瘍細胞の残存を認めた。一方血流欠損部として描出されないような微少な転移に関しては、温熱治療により制御されるものをみとめ、それらの群では温熱治療後に描出される血流の減少を認めたが、制御されない例では治療後に豊富な血流が維持された。このような事から、早期リンパ節転移に関しては温熱治療により血流が消失した際に転移を予防する可能性が示唆された。ウサギの固定法および三次元的な温度分布の把握が、温熱治療の成否にかかわってくると思われ解決すべき問題と考えられた。
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