^<18>Fで標識したグルコース誘導体のFDGを患者に投与し、腫瘍部位を画像化するPET(陽電子放出断層撮影)が臨床応用され、癌の再発や治療効果の判定に用いられてきた。本研究では、FDGに代わる新しい腫瘍トレーサーの^<11>C-Cholineに着目し、その腫瘍集積機序を、従来から用いられてきたFDGや^<11>C-methionine (Met)と比較検討し、^<11>C-Cholineの臨床応用への可能性を検討する目的で研究を行った。純度の高い^<11>C-Cholineを高収量で得るため、^<11>C-Cholineの自動合成装置を開発した。2-dimethilamino ethanolをSep-Pak Accell CMカートリッジで反応させた。続いて^<11>C-metyliodideを反応させ、最終生成物を得た。その結果、^<11>C-Cholineの平均収量は140mCiに達し、放射性純度は99%以上であった。本法は、簡便な操作で高純度の^<11>C-Cholineが得られ、臨床応用可能な合成法であることが明らかになった。次に培養癌細胞のHeLaS3を用いて、FDG、Met、^<11>C-Cholineの集積と細胞周期との関係を比較した。同時にフローサイトメトリーを用い、相対的DNA量を調べ、抗bromodeoxyuridine-FITCでS期を測定した。その結果、FDGは、S期の初期とG2/M期で増大することが示された。それに対し、Metと^<11>C-Cholineの集積は、G2/M期で増大した。以上のことから、FDG、Met、^<11>C-Cholineの集積は、細胞周期依存性であり、これらの腫瘍トレーサーで得られたPET像には、腫瘍細胞分裂能が反映されていることが明かとなった。また^<11>C-Cholineをウサギ腫瘍モデルに投与し、PETで観察したところ、腫瘍部位が正確に同定され、^<11>C-Choline-PETは腫瘍の画像診断に応用可能であることが示された。
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