研究概要 |
埋伏歯とその周囲組織の形態学的関係の診断に,TACT(Tuned-Aperture Computed Tomography)を応用する可能性を検討するために,TACT再構成像とconventional radiographyによるdiagnostic information yieldを比較した。 TACTベースイメージの作成はCCD-based sensor,size-1;CDRまたはRVG-ui HR:Compurayと歯科用X線装置GX-70の組み合わせとした。対象は、本人または保護者の同意を得た上顎に埋伏歯のある患者24名(男性13名,女性11名),24症例で,年齢は6才〜23才。個々のprojectionは60kVp,0.2〜0.3秒で,可及的に円周上の5〜6方向から撮影した。Fiduciary markerには,直径1.5mmのX-Spot鉛ペレット(Beekley)を,できるだけ埋伏歯に近い唇側歯肉に貼り付けた。全ての再構成画像は逐次近似(iteration)で5回処理した。再構成された一連のTACTスライス画像を,ひとつのTIFFファイルとして保存し,各観察者はこれをTACT workbench上で表価した。観察者は歯科医師16名で連続確信度法による無段階評価を行った。評価のための観察項目は,埋伏歯と周囲組織の解剖構造の描出で7項目,加えて2項目のassessmentすなわち「治療方法の選択」と「治療後の経過・予後の予測」に関して十分な情報が得られているかどうか両者に対して判断を求めた。 解剖構造の明瞭性では,「埋伏歯の頬舌的位置」と「埋伏歯の隣接する歯との関係」の評価においてTACTの評価が高くなった。(paired t-test,有意水準5%)。2項目のassessmentでも10%ほどconfidence ratingが上昇し、TACTの埋伏歯診断に対する有効性が示唆された。
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