研究概要 |
TACTは理論的には,任意の方向から撮影された複数の画像により作成が可能であるとされているため,TACT画像作成のための最適な投影方向を検討した。方法はワイーヤーメッシュを設置した固定器具の位置を変化させる方法により、異なる移動方向すなわち,水平、垂直、円周上に位置した6カ所の照射位置からCCDセンサーを使用する口内法ディジタル画像診断システム(CDR)を用いて撮影し,TACTのベースとなる画像を得た。得られた画像をもとにTACTを構築した。その結果,ワイヤーのような形状の被写体に対して水平方向に焦点を移動してTACTを構築するよりも、垂直方向または円周上に位置する一連の焦点位置から照射し得られた画像から,TACTは構築した方が良好なスライス画像を得ることができた。さらに実際の被写体は垂直方向および水平方向の成分が複合されたものと考えられることから、円周上の焦点から照射し得られた画像からTACTは構築されるのが最も望ましいと考えられた。 次に、埋伏歯の診断に,TACTを応用するために,TACT再構成像とconventional radiographyによるdiagnostic information yieldを比較した。TACTベースイメージの作成はCCD-based sensor,;CDRまたはRVG-ui HR : Compurayと歯科用X線装置GX-70の組み合わせとした。対象は、本人または保護者の同意を得た,上顎に埋伏歯のある患者24症例で,年齢は6才〜23才。個々のprojectionは可及的に円周上の5〜6方向から撮影した。 fiduciary markerには,直径1.5mmのX-Spot鉛ペレット(Beekley)を,唇側歯肉に貼り付けた。全ての再構成画像はiterationで5回処理した。再構成された一連のTACTスライス画像を保存し,観察者はこれをTACT workbench上で表価した。観察者は歯科医師16名で連続確信度法による無段階評価を行った。評価のための観察項目は,埋伏歯と周囲組織の解剖構造の描出で7項目,加えて2項目のassessment対して判断を求めた。解剖構造の明瞭性では,「埋伏歯の頬舌的位置」と「埋伏歯と隣接する歯との関係」の評価においてTACTの評価が高くなった。2項目のassessmentでもconfidence ratingが上昇し,TACTの埋伏歯に対する有効性が示唆された。
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